
エベレスト登頂の世界記録を樹立した後も、渡辺さんの生活は変わらない。
大好きな畑仕事で大根やニンジンを育て、自分で食べきれない分は近所に配ったり、近くの実家に持っていったりする。また、富士河口湖町のネイチャーガイドや富士登山ガイドをして、トレーニング代わりに地元の山歩きをして自然と親しんでいる。
そんな渡辺さんのもとに、うれしいニュースが飛び込んできた。生まれたときから見続けてきた富士山が、ユネスコの世界文化遺産に登録されたのだ。
「なかでも、富士山の溶岩の上にできた青木ヶ原の樹海の素晴らしさを、一人でも多くの方に知ってもらいたいですね。風穴や氷穴など、人の手が入っているところもありますが、ほかは全部手つかずの自然ですから、環境を守る大切さを知ってもらえます」。
毎日富士山が見えるところに住んで贅沢だと笑顔を見せながら、このかけがえのない自然をしっかり守っていかなければと、渡辺さんは決意を新たにしている。