2007年度受賞
谷垣 雄三さん
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谷垣さんという人
NPO法人アジア・アフリカにおける医学教育支援機構代表
クマガイ サテライト クリニック理事長
熊谷義也さん
- ―谷垣さんはどういうお医者さんですか?
- 苦しんでいる患者、自分の技術で何とかなると考えられる患者は、あらゆる障害を乗り越えて何としてでも助けるという強い意思に燃えている、そんな外科医。最初の出会いは、30年ほど前、国際資源(株)という会社がニジェールのアデガスという場所でウラン鉱山を開発するために調査団を派遣した際、随行医師に応募された。その時、私が面接した。ところが仕事が予定より早く終わったことから、友人の病院に紹介してともに働き、消化器内視鏡の技術を伝授した経緯があります。
- ―谷垣さんのすばらしさはどういうところに。
- 無言で実行するところ。意外に用意周到でもある。加えて周辺の嫌がらせや無視にも屈しない。一緒に働いていたとき、彼は時間が来るとさっさと帰ってしまう。同僚たちは「付き合いが悪い」と評していたが、後で聞くと、ニジェールに再び行くことを期してフランス語を習われていたというのです。
- ―支援されるようになった経緯と今後について。
- ニアメ大学で教授として働いておられたときには、友情をもって励ましていた。しかし彼が私財を投げ打って田舎に病院を造り、さらにJICAが援助を打ち切ると決定するに及び、大変なことになったと思い仲間を集めて現在のNPOを立ち上げたのです。
今後の支援ですが、毎年の病院の経費750万円を寄付で募って、3月に送金する予定。ニジェールの貨幣価値は日本の200倍。15億円は日本でも小さな病院が経営できる金額です。それと先生もご高齢になられるので、手助けができる外科医を探している。短期的にでもと思っているのだが、残念ながら今のところ手を挙げてくれる人は皆無です。
受賞コメント
アフリカ・ニジェールの田舎より感謝の言葉をお送りします。当地では相変わらず大勢の手術の必要な患者さんが多数来院され、その対応に忙殺されています。外科手術は現代医学の中でも多くの人手と多額の費用が掛かるので、年収の少ない当地の患者は経済的に医療費を支払えません。何とかして安全でしかも安上がりな「手術」を工夫してきました。しかし、それにも限界があります。
日本の皆様の温かいご支援は心に沁みてありがたく感じます。手術室にシチズンの時計は大変うれしく、感謝いたします。