シチズングループでは、2018年度に設置された「グループ品質コンプライアンス委員会」が中心となり、品質コンプライアンスに対する認識の共通化を確実なものとするため、「シチズングループ行動憲章」第2条を基に各事業の状況を踏まえて策定された「シチズングループ品質行動憲章」の周知活動を海外拠点も含めて展開してきました。
本委員会はグループ各社の品質担当役員で構成され、事業を超えたシチズングループとしての視点から品質に関するコンプライアンス遵守の浸透に努めており、内部通報制度の実効性向上やESG/SDGsの視点も考慮しながら、各事業分野のステークホルダーの要請に応える活動も推進しています。
なお、2022年度については、オブザーバーとしてグループ各社の品質保証部門の部長も参加した委員会となっており、グループ視点に加え各事業の業務執行上の視点からの意見も含めた討議を重ねることで、品質管理の根源である品質コンプライアンス遵守についての取り組みを通じ、「品質不祥事」を起こさない組織づくりについも取り組んでいます。
2022年度の品質コンプライアンスの強化について、「シチズングループ品質行動憲章周知活動件数2回」の目標達成や、グループ品質コンプライアンス委員会が作成した「品質コンプライアンス研修資料」を使用して、国内の全従業員と海外の日本人駐在員を対象としたeラーニング研修において、受講率99.3%の成果を挙げました。なお、品質コンプライアンス研修については、事業会社ごとに作成した独自資料でも研修を実施しています。
また、海外拠点での品質行動憲章ポスター掲示やイントラ掲載による周知活動など、コロナ禍においても品質行動憲章の周知活動を継続して実践しています。
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2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2030年度 | |
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目標 |
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KPI |
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施策 |
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品質に関するコンプライアンスリスク対応を主要な役割とする「グループ品質コンプライアンス委員会」では、2022年度の活動として、品質不正に関する他社事例を共有し、発生原因の解明や防止策について議論する機会を年2回設けました。同委員会がグループの品質担保の要となり、各社の品質担当部門や監査部門等と連携しながら、グループ監査や研修など品質コンプライアンスの強化・向上を推進しています。
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実施日 | 活動内容 | |
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第1回 | 2022.06 | 事業統括会社の品質コンプライアンスに関するモニタリング結果報告 |
第2回 | 2022.09 | 品質コンプライアンス研修進捗報告/監査チェックリスト検討/他社品質不正情報の共有(A社) |
第3回 | 2022.12 | 品質コンプライアンス研修進捗報告/監査チェックリスト検討/他社品質不正情報の共有(B社) |
第4回 | 2022.03 | 品質コンプライアンス監査・実施計画の策定 |
シチズングループでは、グループ各社の実情に即した品質向上施策をそれぞれ展開していますが、グループ共通の施策となる「品質コンプライアンス視点の監査チェックリスト」を2022年度に作成しました。コンプライアンスの視点に基づく製品の品質について、グループ各社で検討した項目をシチズン時計が取りまとめ、グループ共通の項目を抽出した上で、各社固有の項目を加えた監査項目です。作成に続いて実施計画も策定しました。2023年度以降、本計画に沿って、この共通チェックリストを用いたグループ内の品質コンプライアンス監査を実施していきます。
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大項目 | 監査項目 | |
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1 | シチズングループ品質行動憲章の周知/理解 | 1項目 |
2 | 品質保証部門 | 3項目 |
3 | 品質関連データ | 2項目 |
4 | 顧客/調達先/関係部門とのコミュニケーション・情報共有 | 4項目 |
5 | 規格外品の取り扱い | 3項目 |
6 | 4M変更管理 | 2項目 |
7 | 内部通報制度 | 1項目 |
8 | 不正のトライアングル(KDS) | 3項目 |
9 | 監査・チェック機能 | 1項目 |
計9項目 | 計20項目 |
シチズングループでは、全ての従業員の品質コンプライアンス意識を高めるため、グループ品質コンプライアンス委員会監修による「品質コンプライアンス研修」を、新入社員研修や新任役員研修の一環として動画配信によるeラーニング形式で実施し、グループ全体で品質コンプライアンス意識の向上を図っています。2022年度の品質コンプライアンス研修の参加実績は6,176名です。
海外における品質コンプライアンス意識の周知徹底のため、これまで中国の拠点で実施していた「シチズングループ品質行動憲章」ポスター掲示を、2021年度はタイとベトナム、フィリピンの製造工場で展開しました。シチズングループ品質行動憲章では、品質の維持に向けた取り組み事項ほか、仕事に取り組む姿勢といった、グループの一員としてあるべき姿も掲げています。コロナ禍で緊密な意思疎通が難しい状況において、ポスター展示が海外の従業員もグループの一員であるとの自覚や心の拠り所になっているとの評価を得ており、今後も他拠点への展開を通じて品質コンプライアンス意識の向上を図っていきます。
品質コンプライアンスの強化に向けて、シチズン電子では部門長の定期的な人事ローテーション制度や、品質やデータの改ざんを防止するシステムをグループ内でいち早く導入するなどの取り組みを進めています。2022年度は再確認の意味も兼ねて、4M(Man(人)、Machine(機械)、Method(方法)、Material(材料))変更管理を周知する研修をグループ各社で実施しました。また、社内認定試験所や品質保証部門を社長直下にするなど部門の独立性を持たせる施策を行って以後、同社において品質不正は発生しておりません。なお、これらの取り組みはシチズン時計の取締役会ほかグループ内に共有されています。
精密工作機械メーカーのシチズンマシナリーでは、製品を導入いただいたお客様に対してアンケートを実施し、製品の使い勝手や改善要望などの把握に努めています。故障などのお問い合わせに対しては、製品スキルに長けたスタッフをコールセンターに配置して製品の状況について伺える体制を整備して、対処法のご説明や交換部品の送付を実施しています。修理が必要な状況であれば直ちに作業に出向くよう手配するなど、お客様のビジネスに影響を及ぼす製品の稼働停止期間が最小限となるよう、迅速かつ適切な対応に努めています。
お問い合わせ内容については、品質保証部門が主体となって社内共有が図られ、製品の改良も含めた品質改善に役立てられています。なお修理業務の手引きや対応マニュアルは英文版を用意してグローバル対応が図られています。また、製品に関する最新情報や電子マニュアルの閲覧、操作・保守点検内容を動画で確認できる会員専用ポータル「アルカートサイト」を用意して、お客様満足度向上に努めています。
一般のお客様向けの製品を数多く手掛けるシチズン時計では、お客様からのお問い合わせやご相談、苦情について真摯にかつ迅速に対応する問い合わせ窓口を設置し、お客様満足度の向上を目指しています。お客様からいただいた大切な情報や問題点は、経営トップにタイムリーに報告するとともに各事業部門で情報を共有し、製品の改善やサービスの向上に結びつけています。製品の早急な修理・交換が必要な重大事案が発生した場合は、ホームページ上での告知を実施しています。なお2022年度のシチズン時計へのお問い合わせ件数は54,305件となりました。
シチズン時計およびシチズン時計マニュファクチャリングでは、ISO9001の要求事項に基づき、独自の品質マニュアルを作成してQMS(Quality Management System)活動を展開しています。本マニュアルは、時計事業全体の品質マネジメントが確実に運用され、品質方針を達成し、シチズングループ品質行動憲章の遵守を目的としています。さらに、QMS活動の有効性を確認するための内部監査を年1回実施しています。
お客様から寄せられたクレームに関して、「市場クレーム処理標準書」や「製品事故対応標準書」に基づく対処が行われます。製品やサービスの改善につながるクレームについては対応及び「品質基準書」への追加や基準書の見直しが行われます。製品品質に関するクレームは迅速に対応するとともに、重大事案に関しては消費者庁・NITEへの報告をはじめ、経営会議などの機会を通じて社長を含む役員に報告され、「重要なお知らせ」として自社サイトで公表するなど、多岐にわたる対策を進めています。
シチズンマシナリーでは、お客様から製品の不具合についてのお問い合わせが寄せられた際に、交換部品の送付や修理手配といった対応と合わせて、お問い合わせ内容に応じて案件に関する関係者による応急対策会議を開催して情報共有や原因究明を進めています。その後は再発防止対策会議を実施して、経営トップへの報告や製品の改良などの是正処置がとられます。なお寄せられたお問い合わせ・クレームについては件数を集計して改善につなげていく定量的な確認体制を整えています。
また、社内で判明した工程の不具合についても、再発防止策を講じて欠陥製品を市場に出さないための取り組みを実施しています。工程の不具合についても件数を把握した上で、標準書や作業マニュアルの改定、工程の改善を実践し、不具合件数の削減に向けた取り組みを実践しています。なお、不具合情報については、海外拠点にも直ちに共有して対策を講じるなど、グローバル規模での「全拠点同一品質」を実践しています。