環境配慮型製品の充実

シチズングループは、製品が環境に与える影響を強く認識し、信頼性や安全性と同様に、製品の環境品質の向上に努めています。環境に配慮した製品を世に送り出すことは、シチズングループのサステナブル経営の要であり、バリューチェーン全体の環境に配慮する「サステナブルファクトリー」での生産活動を通じて、環境配慮型製品の拡大を進めています。

環境配慮型製品の拡大への取り組み

シチズングループでは、「環境配慮型製品」の拡充を目指しています。開発段階から多項目の環境製品アセスメント(評価)を実施し、「省資源・省エネルギー」「再資源化(リユース・リサイクル)」「長期使用性」「環境保全性(有害化学物質管理)」「環境情報の提供」「包装材」などの評価基準をすべて満たした製品を「環境配慮型製品」に認定しています。なおREACH規則※1RoHS指令※2への対応については、シチズングループグリーン調達基準に基づき、化学物質管理を実施しています。

またグローバルな製品環境規制に対応するため、2022年度はグループグリーン調達基準書を改定しました。この改定により、安全・安心な製品の提供とともに、取引先やお客様からの要求に応じて製品を安全に使用するための含有化学物質情報などの提供を行っています。また法律への対応をより強固にするため、外部調達先の環境監査や有害物質が含まれる可能性が高いハイリスク品に対する分析等も実施しています。

  1. REACH規則…2007年6月1日から施行された欧州の化学物質における法規制です。EU域内で製造・使用される化学物質はRegistration(登録)、Evaluation(評価)、Authorisation(認可)、Restriction(制限)の義務が発生します。
  2. RoHS指令…電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する欧州の法規制です。2019年7月22日から改正RoHS指令に伴う4種のフタル酸エステルが規制物質に追加され、従来のRoHS6物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDE)に加え、合計10種類の有害化学物質が使用制限されました。

環境配慮型製品の評価基準

下記の評価項目をすべて満足していること。

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  評価項目 評価基準
1 製品配慮にかかわる事前表示 製品アセスメントを実施していること
2 省エネルギー・省資源 稼働時、待機時の消費電力が削減されていること※1
節電機能を有していること
質量、体積、部品点数のいずれかが減少していること※2
3 再資源化(リユース・リサイクル) 再資源化容易材料を使用していること※3
25g以上かつ200㎟以上のプラスチック部品の場合は材料表示をすること※4
4 長期使用性 修理、交換が容易な構造で信頼性・耐久性が確認されていること※5
5 環境保全性 シチズン化学物質管理基準を満足していること
6 環境情報の提供 タイプⅠまたはタイプⅡ環境ラベルに準拠した情報公開ができること
7 包装材 再資源化容易材料を使用していること
シチズン化学物質管理基準を満足していること
8 上記以外の評価項目 該当する業界基準などを参考に設定する※6
  1. 基準となる従来製品などを設定する。
  2. 基準となる従来製品などを設定する。ただし、デザイン、機能上で制限される製品は除く。
  3. 電子部品は除く。
  4. 直接表示しない場合は、取扱説明書などへの記載でも可。
  5. 具体的な組み合わせ事例を設定すること。
  6. 対象は化学製品等。

シチズングループの環境配慮型製品

【事例紹介】永く寄り添う腕時計であるための技術とサービス The CITIZENメカニカルモデル

シチズン時計

シチズンは1918年の創業以来、「永く広く市民に愛されるように」という思いを込めて、時計を生み出し育み続けてきました。設計や部品製造から組立、調整を自社で行うことができるマニュファクチュールであるシチズンの中でも、自社技術を凝縮した専用設計ムーブメントを搭載するThe CITIZENの組立には卓越した技術を要します。ムーブメントから腕時計の完成まで、優れた技能をもつ時計組立マイスターによって組み立てられています。2021年8月、シチズンは約10年ぶりにThe CITIZENから機械式時計を発売しました。機械式時計は、定期的なメンテナンスをすることで永く使い続けることができ、次の世代へ受け継がれていくという点で、シチズンの基幹技術「エコ・ドライブ」と並ぶ、もう1つのサステナブルな製品です。そのメンテナンスのお手伝いとして、きめ細やかなサービスを提供する「シチズン オーナーズクラブ」を用意しています。購入されたお客様に「シチズン オーナーズクラブ」へ登録いただくことで、お問い合わせやご要望に対して、迅速かつ質の高いサービスを提供しています。

すべては身に着ける人へ寄り添う時計であるために。その証として、文字板にはThe CITIZENのシンボルである「イーグルマーク」を配しています。「イーグルマーク」は、「常に先を見据え、理想を追求する」「身に着ける方に永く寄り添う」という『ザ・シチズン』の2つの意思を表しています。

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【事例紹介】地球のように美しいサステナブルウオッチ CITIZEN L

シチズン時計

CITIZEN L(シチズンエル)は、自然の美しさからインスパイアされたデザインを持ちながら、2016年よりサステナビリティ(持続可能性)をブランドの根幹に位置づけ、地球環境や人に配慮したコミットメントを掲げて、「地球のように美しいサステナブルウオッチ」を提案しています。全ての時計において定期的な電池交換の要らない光発電エコ・ドライブを搭載し、腕時計には「誰かを犠牲にしない」「持続可能であること」を選択基準とした素材を一部で採用するなど、地球の未来をよりサステナブルなものにするための取り組みを行っています。2023年4月には、春の訪れを祝福する花であり、幸せの象徴として人々から愛されてきたスズランをテーマにしたモデルを発売しました。スズランをイメージした模様が施された白蝶貝の文字板は、そのベースとなる部品の一部に再生素材を採用し、地球環境に配慮しています。また、一部地域で発売するモデルには、リンゴの加工過程で廃棄される皮や残留物を使用したアップルレザーや、回収されたペットボトルのリサイクル素材「ECOPET®」を採用しています。これらのアップサイクルされた素材を用いることで、持続可能な資源の利用を推進し、循環経済の発展と循環型社会の実現に貢献します。

また、LCA(ライフサイクルアセスメント)の取り組みとして、CITIZEN Lでは材料調達から生産、廃棄・リサイクルに至る時計の一生涯に排出される温室効果ガスをCO₂に換算、一般社団法人サステナブル経営推進機構によるCFPプログラム認定を取得しました。

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【事例紹介】森林環境や地域社会に配慮した「FSC®認証紙」の活用

シチズン時計

シチズン時計では、森林の違法伐採や環境破壊に加担しないよう、時計を収めるボックスや付属書、パンフレットなどの販促物に、「FSC®認証紙*」の採用を進めています。

FSC®認証とは、適切に管理された森林からの木材や、再生資源、その他の管理原材料からつくられた製品を目に見える形で消費者に届け、それにより責任ある森林管理を消費者が支える仕組みです。残念ながら、市場に流通する木材の中には、違法伐採された木材やしっかり管理されていない人工林から過剰に伐採された木材が含まれています。認証製品を選ぶことで、適切な森林管理を行う林業者や地域のサポートになり、世界全体の森林保全へとつながります。

次の世代に豊かな森を受け継いでいくために、貴重な森林資源を使用する責任と日々向き合っていきます。

  • ※ FSC®:Forest Stewardship Council®/森林管理協議会。FSC®N002484。
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【事例紹介】腕時計の文字板に100%再生ポリカーボネートを採用し、地球にやさしい時計作りを推進

シチズン時計

シチズン時計は、世界をつなぐ美しい海をイメージした、「UNITE with BLUE」、地球環境や人に配慮したサステナブルウオッチブランド「CITIZEN L」の2023年の新モデルに関して、文字板に100%再生ポリカーボネートを採用いたしました。

限りある資源を活用することで、廃棄物の削減及び環境負荷の低減に貢献することを目的としています。今後も再生素材をはじめとした環境配慮素材の採用し、地球にやさしい時計作りを進めていきます。

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【事例紹介】「レザ―ワーキンググループ(LWG)」に加盟し、サステナブルレザーの使用を促進

シチズン時計

2023年4月1日より地球環境の保護や、消費者に安心で安全なレザーを供給することを目的とした国際的な非営利団体「レザーワーキンググループ(以下LWG)」の国内時計メーカー初のメンバーとなりました。

LWGとは、皮革の製造業者、取引業者、供給業者、技術専門家、さらにブランドや小売業者で構成されたグローバルな環境保護団体です。

現在シチズンブランドの腕時計で使用しているレザーの60%をLWG認証を受けたタンナーから調達していますが、今後は90%以上を目指します。また、LWGに加盟することで、皮革産業全体の持続可能性の推進にも貢献していきます。

関連ページ

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ザ・シチズン四季借景バンド

【事例紹介】サプライヤーとの協業によるグリーン調達

シチズン時計(中国)

私たちPDC環境管理部ではシチズングリーン調達基準書に基づき、中国華南地区にある外装部品サプライヤーの環境規制への対応の管理、監査、改善支援を行っております。

取引サプライヤーと最新版グリーン調達基準書への適合宣言書を取り交わします。さらに重要取引サプライヤーに対しては書類、現物、現場の監査・評価を行います。評価結果が優秀なサプライヤーをシチズンのグリーンパートナーと認定し、認定書を発行しています。2022年の認定実績は37社となります。

また、年度ごとに取引サプライヤーから部品を構成する材料一覧および各材料のMSDS・検査結果などのデータ収集し、最新の各種グローバル規制(RoHS/ニッケル/紛争鉱物等)への適合可否確認および改善指導を行っております。

開発段階/4M変更では新材料および新サプライヤーの環境評価を担当し、量産段階では入荷部品に対してフタル酸規制物質の抜取り検査を実施しております。

環境対応については、取引サプライヤーの理解と協力が必須で、今後も継続して取引サプライヤーと対話しながら、シチズン環境方針に基づいたものづくりを推進していきます。

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【事例紹介】LFV技術でSDGsに貢献

シチズンマシナリー

LFV(低周波振動切削)技術とは、シチズン独自の制御技術によりX・Z各サーボ軸を切削方向に振動させ、その振動を主軸回転と同期させながら切削を行う方法で、切削中に刃物があたらない「空振り」時間を設けることにより切りくずを細かく分断しながら加工します。

従来の切削加工では、長い切りくずが発生し、加工部品や刃物にからまるリスクがあり、不良品の発生や刃具の破損などの課題が多く報告されてきました。LFV技術搭載の工作機械では、切りくずのからまりに起因する上記課題の発生を削減し、生産効率の向上に寄与、部品1個当たりの切削に必要な電力を低減させる効果が期待できます。

また、切りくずの分断によって機械からの切りくず回収頻度を減らし、作業負荷を軽減させ、さらにはその廃棄物の容積を小さく抑えることにより、輸送現場における環境負荷の低減等、顧客の製造プロセスにおけるSDGsに貢献しています。

LFV技術搭載のCNC自動旋盤は国内出荷に続きグローバルへの出荷も開始し、累計出荷は4,000台を突破しました。

  • ※サーボ軸…モータ、ガイド等からなる送り機構部
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従来の切削で切りくずが絡んでいる様子
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切りくず写真比較
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【事例紹介】摩擦接合技術の開発

シチズンマシナリー

シチズンマシナリーで新たに開発された「摩擦接合技術」では、加工後に残る残材を大幅に削減することで、限りある資源の有効活用が可能なほか、より効率的に材料を加工することで材料コストの削減にも繋がることが期待されています。当社の主要製品のひとつである主軸台移動形自動旋盤は、加工時に材料を掴む主軸チャック部と、切削点を保持するガイドブッシュ間の材料が、切削できない残材として残ることが課題でした。そこで本技術を用いて、残材を機械外に排出せずに背面主軸などでチャックし、次に供給される材料の先端と接合することで、残材を1/4程度まで少なくし(写真)、材料を最大限に有効活用できるようになりました。

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【事例紹介】環境を意識した製品の開発 照明用LED

シチズン電子

LEDは環境にやさしい光として急速に広がり、私たちの生活の中でも多くの用途・場所にて使用されています。LEDは白熱電球に比べ、約1/10の低消費電力であり、蛍光灯に含まれる水銀などの有害物質も使用していません。また長寿命であることから買い替えによる廃棄物の削減にも寄与し、その優れた環境性能から「理想の光源」と言っても過言ではありません。

シチズン電子では、2003年より照明用LEDの開発をスタートさせ、世界最高レベルの発光効率・光束で業界をけん引してきました。新製品「COBシリーズVersion9」の発光効率は、10年前の「COBシリーズVersion1」の約2倍となっています。併せて照明用LEDに要求される、長期間使用しても明るさを維持する長期信頼性、耐ガス特性も改良されており、発光効率向上による省エネ効果(二酸化炭素排出量削減)だけではなく、LED光源や照明器具の交換や修繕間隔を長く取れることから、環境負荷低減にも寄与します。

環境配慮型製品であるLED製品を手掛けるシチズン電子は、長年に渡り蓄積してきた高度なパッケージング技術や高品質・高信頼性技術を用いて、環境負荷低減に貢献する製品開発や生産を行います。

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【事例紹介】体温計のパッケージをバガス紙へ変更 プラスチックの使用量を年間約14トン削減

シチズン・システムズ

シチズン・システムズのヘルスケアは、国内市場向け体温計のパッケージを従来のプラスチックと厚紙を使用したパッケージから、サトウキビを原材料とする「バガス紙」のパッケージに2022年12月生産分より順次切り替えました(一部を除く)。これによりプラスチック使用量を年間約14トン削減します。※1

更に、パッケージ及び取扱説明書に使用するインクは、大気中で気体となる有機化合物の排出がほとんどない「植物油インク」を採用し、パッケージの表面仕上げには、リサイクル工程において阻害にならないものと区分されている「ニス」を採用します。※3 取扱説明書は「古紙再生紙」を採用し、廃棄物減量化にも貢献します。

パッケージの最適化設計や環境に配慮した資源を利用することでプラスチック廃棄量及びCO₂排出の削減に貢献し、持続可能な循環型社会の実現を目指します。

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プラスチックと厚紙を
使用したパッケージ
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バガス紙使用のパッケージ
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バガス紙使用のパッケージには
バガスマークを表示しています。※2
  1. 当社2021年度 国内出荷台数ベースで算出。
  2. マークは五條製紙㈱のバガスパルプが配合した紙を使用することで付けられるマークです。
  3. 社団法人日本印刷産業連合会が策定した印刷物資材「古紙リサイクル適正ランクリスト」規格

【事例紹介】環境を意識した製品の開発 屋外電波時計

シチズンTIC

シチズンTICでは、電気二重層コンデンサを使用した環境にやさしい太陽電池式屋外時計を提供しています。省エネルギー回路設計により曇りや雨の日でも効率よく必要とする電力を確保します。電気二重層コンデンサは充放電による劣化が少ないため、従来のニッケルカドミウム蓄電池に比べ約3倍の長寿命を実現、長期に渡りメンテナンス不要で正確な時刻表示を続けます。また、蓄電池の定期的な交換費用と交換品の製造、輸送で発生するエネルギーを削減でき、廃棄時も環境負荷が少ない製品です。2007年の発売以来全国の学校、公園などの公共の場で導入されています。

  1. ※ 蓄電池寿命は、設置環境により異なります。
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GPS衛星電波屋外時計