CITIZEN OF THE YEAR 社会に感動を与える人々を応援します。

対談

父親と多くの支援者の応援が義肢提供を続ける力に

  • 山根
  • 真美さんが子どものころ、ご両親の育て方ってどんな感じだったのですか。
  • 真美
  • 母は私が中学校のときに亡くなりました。そのあとは、掃除や洗濯など家庭のことは父がやるようになり、中学、高校とお弁当も作ってくれました。それなのに、女の子って父親の存在をうっとうしく思う時期があって、父から話し掛けられてもあまり会話をしませんでした。それがアフリカにいってから、「お父さん、ちゃんとご飯食べているかなあ」なんて心配するようになりました。
  • 山根
  • 遠く離れたけれど、精神的な距離は近づいたんですね。
  • 真美
  • この活動も父が最初のサポーターなんです。1997年ごろ、ルワンダまで来て私たちのやっている義肢提供活動や、ご飯が食べていけている様子を見て、少しは安心したのだと思います。私たちの活動を一番応援してくれて、地元の茅ケ崎で病院に行っても市役所に行っても、「うちの娘がこういう活動をしています」とみんなに宣伝してくれました。
  • 山根
  • それをお聞きになっていかがでしたか。
  • 真美
  • ものすごくうれしかったですね。ちゃんと会話もしなかった私のために、こんなに応援してくれるのかと。私たちが会報を出すと、それを自転車に積んで街中に配ってくれるんです。どこに行っても「お父さんから話を聞いていますよ」と言われて、あれは本当にうれしかったです。
義肢製作所の建設はレンガを1つずつ作る地道な作業から始まった
  • 山根
  • お父さまのあと、大勢の支援者ができましたね。
  • 真美
  • 自分のやりたいことをやらせてもらっているという思いだったのですが、多くの人に支援を頂いて私は幸せだなと思いました。まだ始めたばかりで、本当にこの活動を続けていけるのか私自身にも分からない時期から、頑張ってくださいと言って寄付を頂き、今も支えてもらっています。
  • 山根
  • ルワンダでは憎しみの連鎖のようなものが虐殺まで引き起こしましたが、一方では、人への優しさや誰かに何かをしてあげたいという想いが良い連鎖をしていくと、すごい力になるんだと思いますね。
  • 真美
  • 結局、憎しみの感情を持っている人たちも、自分が優しくされたら絶対にうれしいし、温かい気持ちや触れ合いが欲しと思うんです。ただ、彼らには今までそういうチャンスがなかったり、感情を押し殺してきたのかもしれません。私自身、人に好かれたいと思いますし、人を愛していたいです。ですから、多くの支援を頂きながら、私たちの支えを必要としている人のために活動ができていることは、とても幸福なんだと思います。

後に続くスタッフを育て活動をもっと世界に広げたい

  • 山根
  • 結婚は活動を始められてからだそうですね。
  • 真美
  • 籍を入れたのは2001年で、父に「これから二人で真剣にこの活動をやっていくんです」ということを伝える意味もありました。それに、義肢装具士の修業時代に親方から「モノづくりも、物事も、けじめが肝心だ」とよく言われていたので、その言葉にこだわったのかもしれません。
  • 山根
  • お父さまに対して自分の生き方をきちんと見せなければいけない。その真美さんの覚悟を見せたわけですね。その後、活動をする中で真美さん自身が変わったと感じることはありますか。
この活動への決意を伝える想いもあった結婚
  • 真美
  • 人を使って仕事をすることで、気持ちが強くなりました。でも、強気だけでは相手を不快にさせるだけなので、謙虚でありたいと心掛けるようになりました。相手のことを考えないと、どんな仕事もできないと思います。
  • 山根
  • 本当の強さというのは謙虚さから生まれるのかもしれませんね。そういうことって、人間として学ぶべきことなのですが、なかなか学ぶ機会は少ないですね。
  • 真美
  • そういう点でも、アフリカと関わることができて本当に良かったと思います。
  • 山根
  • 今、どうやって自分は生きていったらいいのか、目標が見えない人がたくさんいるでしょう。ですから、真美さんのように生きていく上での目的や、やりたいものが見えているというのは、とても幸福なことだと思います。これからは、活動をどう進めていきたいと思われていますか。
  • 真美
  • 義肢の提供は隣国のブルンジでも始めましたが、この活動をもっと広く知らせたいので、私たちがいなくても運営できるようスタッフを育成していきたいです。
  • 山根
  • 真美さんとガテラさんを見ていると、愛の力はすごいと思います。日本と、はるかルワンダで生まれた二人が巡り合い、いろいろな困難を乗り越えて。
  • 真美
  • 母国語が違うのは、つながりを強めることになると思いますね。話してもうまく伝わらないものを、なんとか伝えようとしますから。
  • 山根
  • いつもお互いのことを分かり合おうとすることが、きっと夫婦の関係を深めているのですね。これからも力を合わせて良い活動をしてください。
  • 真美
  • ありがとうございます。
    (敬称略)
義足の提供だけでなく、障害者の自立支援にも力を入れ、訓練学校や雇用の場であるレストランなども建設
互いに尊敬し合いながら活動を続けている真美さんとガテラさん
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