永井 利夫・サヨコご夫妻
子育てに関する問題が掲げられる現代で、60人の里子を育てた
永井 利夫・サヨコご夫妻

永井 利夫さん/1934(昭和9)年生まれ。大阪市出身。
永井 サヨコさん/1943(昭和18)年生まれ。

  • 2004年度受賞
  • 社会貢献

受賞概要

30年前、子宝に恵まれなかった1組の夫婦が60人の里子のお父さんお母さんに

永井さん夫妻が初めて里親になったのは結婚10年後の1973年。子供ができず児童相談所から1歳児を紹介されたのがきっかけ。以来30年、60人を超す里子たちと暮らしてきた。期間は数日から9年と様々だが、現在は高2の男子ひとり。「本気で接していると、いつか分ってもらえる。そのときの笑顔を待つ」と利夫さん。「100%親になれないのは寂しい。でもどこかであきらめないと情が空回りする」とサヨコさん。永井家では11か条のルールがある。起床、登校、食事など時間に関することが多いが、比較的小さい子の方が守ってくれるという。巣立っていった里子たちも時折り訪ねてきて、「おとうさん」「おかあさん」と近況を語ってくれるが、こちらから会うことはしない。

受賞理由

個人の里親制度の確立や児童虐待など子育てに関する問題が掲げられる現代の、親の鏡

日本では施設などの組織に頼ることが多く、個人の里親制度が育ちにくいといった問題が指摘されている。一方では児童虐待も頻発している。そうした中で30年にもわたって60人を超える子供たちと親子の育みを続けて来られた夫妻の行為は、まさに親のプロと言うのにふさわしい。子供たちとのスキンシップには体力が必要と、夫妻は現在も毎日筋トレ、サイクリングなど健康管理に努めている。

受賞コメント

りっぱな賞をいただき身にあまる光栄です。私たちが親にしてもらったことをしているだけで、特別なことをしたわけではありません。逆に子どもたちから素晴らしさをもらっています。出会いと別れの連続ですが、子どもたちと一緒に人生を学び成長していると思っています。賞金は里親会をはじめとする子どもの自立を支援する各団体に寄付したい。