谷村 基さん/1905(明治38)年生まれ。島根県出身。無職。
1960年代、谷村さんは老人ホームを建てる目的で練馬区内の民生委員や老人クラブを訪ねた折、孤独で悲惨な境遇の高齢者が多い現実を目の当たりにする。老人ホーム造りは断念したが、1人1人訪問して激励するといった活動を始めているうちに、とても回りきれない、はがきにしようと思い立つ。67年には賛同する仲間もできて「ねりま友愛通信の会」が発足。今日までの35年間で差し出したはがきは計45万枚。現在、区内には独り暮しや寝たきりの老人が約2000人。この内はがきを希望する1600人ほどに宛てて会員たちは毎月、谷村さんの家に集ってはがきを書く。
手書きで温もりのあるはがきに、心の扉が開かれる独居老人も多いに違いない。谷村さんが実体験から始めた試みに仲間が加わり、ときどきで出入りはあったが現ボランティア会員は約70名。歴史を重ねて、今では励ます先のほとんどが谷村さんより年下というのがチャーミング。それだけに年寄りの気持はよく分かるらしい。
賞金の額を聞いて驚きました。官製はがきを大量にくださる方はいますが、暑中見舞や年賀はがきは特殊なので毎回購入しています。個人でまかなうのは大変でしたので、とても助かります。