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スタートラインTokyo
約30年にわたり、義足で走ることをサポートし、走る喜びを伝える
スタートラインTokyo

スタートラインTokyo
東京都荒川区

  • 2019年度受賞
  • 社会貢献

受賞概要

義足で走ることをサポートするとともに、義足に関する情報交換や相談ができるコミュニティにもなっている

義足ユーザーを中心とした陸上クラブ、「スタートラインTokyo」は約30年にわたり練習会を開き、走る喜びを伝えてきた。大腿切断や下腿切断などさまざまな切断レベル、機能障がいのある方々が月に1回全国から集まり、歩き方から走り方までそれぞれ目標を持って楽しく練習をしている。

代表を務める臼井二美男(うすい ふみお)さん(64歳)は、鉄道弘済会 義肢装具サポートセンターで、義肢装具士としてこれまで延べ5,000本の義足の製作・修理に携わってきた。新婚旅行先のハワイで出会ったスポーツ用義足に魅せられて開発にのめり込み、現在はスポーツ用義足の第一人者として知られる。「足を失った人にこそ、風を切る喜びを感じて欲しい」と、1991年に陸上クラブを設立。以来、参加者に寄り添い、月1回の練習会を続けてきた。クラブをきっかけにパラリンピックなどの国際大会の舞台に立った選手もいる。

練習会では、日常生活用の義足でまずストレッチや体操を行い、その後スポーツ用義足に履き替えて、ランニングを楽しむ。公費からの補助が受けられる一般義足とは異なり、スポーツ用義足は数十万円と高価なため、個人での入手が難しい。自分でスポーツ用義足を用意する競技選手もいるが、それ以外の参加者には鉄道弘済会が用意したものを貸し出している。義肢装具士として臼井さんは、「走ることができるということが自信にもつながり、本人だけでなく家族も明るく前向きな気持ちになれる」と言う。

「スタートラインTokyo」は、代表の臼井さんと、選手会長の水谷憲勝(みずたに のりかつ)さんで運営されており、毎月、東京都障害者スポーツセンターで行っている練習会には、ボランティアで集まった義肢装具士、理学療法士、スポーツトレーナーが、その人に合わせた歩き方や走り方の指導、義足の調整などサポートを行っている。無料で利用できる施設を使用しているため、会費や参加費は不要。参加する義足ユーザーは、「スタートラインTokyo」のSNSのグループに登録することで会員となることができる。練習会には健康のために走ってみたいという人からアスリートまで、北海道や九州から幅広い年齢の人が集まり、それぞれの目標をもって練習している。現在では参加者のSNSグループには約220人が登録しており、練習会の情報を共有するとともに、義足に関する情報交換や相談ができるコミュニティにもなっている。近年はもっと走りたい人のために週に1回、代々木公園陸上競技場で練習会も開いている。

最近では同じような練習会を開催する病院やチームが全国各地で増えてきており、互いに交流を深めている。また、2015年には「スタートラインTokyo」の参加者が中心となり、義足は隠すものというイメージを変えたいと、石川県の夏祭りでファッションショーを開催。思い思いにデザインされた自慢の義足を披露するなど活動の幅も広がりを見せている。

カーボン素材を使ったスポーツ用義足。練習会では貸し出しもしてくれる

走ることは運動の基礎。走れるということが自分への自信にもつながっている

義肢装具士の臼井二美男さん。練習会では走るためのサポートや義足の調整も行っている

練習会には男女問わず、さまざまな年代が参加。子どもたちも楽しみにしている

受賞理由

走る喜びを感じてもらいたいと始めた活動が、足を失ってしまった人たちに勇気を与えている

足を失ってしまった人たちに走る喜びを感じてもらう活動が約30年の長きにわたって続いているのが素晴らしい。このクラブのおかげで勇気を与えられたひとがどれだけいるだろう。代表の臼井さんの「風を切る喜びを感じてほしい」という思いには大きな愛情がある。だからこそ、全国から多くのランナーが集まるのだろう。障がい者スポーツが注目され、同時に障がい者とともに生きる社会づくりに関心が高まる今、このクラブの存在は非常に大きい。

受賞コメント

「義足で走ってみたい」そんな素朴な想いを叶えるためにスタートして約30年が経過しました。たった4名だったメンバーが今では200名を超え、活気あるクラブとなりました。若年者から高齢者まで誰もが参加しスポーツやレクリエーションを楽しんでいます。そして2000年アテネから今年の東京パラリンピック大会にも選手を生み出すようになりました。今回、栄誉ある賞を頂き思うことは、本来の目的である、障害を乗り越え自信をもち、夢を抱き、何事にも立ち向かっていけるような心を育むことを基本姿勢として、これからも運営していきたいと思います。

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