受賞者全員の活動を公開! 受賞者アーカイブ

矢田 明子さん
まちを元気にするコミュニティナースとしての活動の普及と育成に尽力
矢田 明子さん

矢田 明子(やた あきこ)さん/1980(昭和55)年生まれ
島根県在住

  • 2019年度受賞
  • 社会貢献

受賞概要

町中や集会所、お祭りなど、暮らしのそばで気軽に医療・健康の相談できる存在を目指して

病院に行かなくても、気軽に健康相談できる人が近くにいたらどんなに安心か。定期的に家に来たり、町中や公民館や集会所、商店やカフェ、託児所、お祭りなどにもいてくれる。こんな人がいる町はとても魅力的だ。この医療知識やコミュニケーション能力などその人ならではの専門性を活かしつつ、「地域の暮らしのそばで、『毎日のうれしいや楽しい』を一緒につくり、『心と身体の健康と安心』を実現する存在」がコミュニティナースである。

病院の看護師とは違い医療行為はしないが、健康相談だけでなく、病気の早期発見の後押し、医療や福祉機関への橋渡しを行うこともある。

当時あまり例のなかったこの活動を10年以上前から実践し、その普及と人材育成を全国で推進しているのが、島根県出雲市出身の矢田明子さん(39歳)である。

矢田さんは、最愛の父との別れがきっかけでこの道へ進む。55歳の若さで亡くなった父が最期まで信頼していたのが看護師など医療の専門家達。彼らは病気の経過や治療に関して多くの知識を持っていて、先のことを予測することができるため、末期がんの父や患者たちを安心させるような親身で的確なアドバイスをしていた。その様子に興味を持った矢田さんは、病気になる前の人にも日頃からの親身な声掛けやアドバイスが役立つと感じた。当時26歳で3児の母だったが、「看護師になる」と父に誓う。

猛勉強の末、2008年、27歳で島根県立大学短期大学看護学科(当時)に合格。1年生の授業で出会ったのがコミュニティナーシングという考え方だった。父親を看取った経験からこれに共鳴し、すぐに5人の学生仲間と共に地域の喫茶店などでコミュニティナースの見習いとしての活動を開始した。

そして2011年、島根大学医学部看護学科に編入。活動の傍ら、島根県雲南市主催の地域活性化を担う次世代人材育成事業「幸雲南塾(こううんなんじゅく)」に参加する。ここでの学びがコミュニティナースの普及・育成の仕組みづくりにつながっていく。その後、看護師と保健師免許を取得すると2015年に雲南市や訪問看護を手掛ける企業の協力を得て雲南市内に訪問看護事業を展開する株式会社 Community Careの開設を担う(取締役現職)。ここを拠点にコミュニティナースの活動を本格的に開始。翌2016年6月からは、全国にコミュニティナースを広めるため、人材育成とノウハウのシェアを行う講座「コミュニティナース プロジェクト」を都内中心にスタート。1期目は看護師資格を持つ12名が参加。2019年には医療従事者以外からの受講生も増え、これまでに160名を超える修了生を輩出。

活動は徐々に全国に広がり、積極的に町を元気にするコミュニティづくりに取り組む自治体や企業も出てきた。矢田さんは、コミュニティナースを、医療分野に限らず、明るく楽しく元気に暮らせるコミュニティづくりに貢献していく存在にしたいと考える。「コミュニティナースを増やすことで日本をもっと元気に」が願いだ。

地域に溶け込み、健康相談や医療機関への橋渡しになっている

コミュニティナースの普及と人材育成講座をスタート。過去9回開催

コミュニティナース講座の修了生はこれまでに160名を超える

「コミュニティナースを増やし、日本をもっと元気にしたい」というのが矢田さんの願いだ

受賞理由

地域社会のコミュニティが失われていくなか、人と医療をつなぐ「接着剤」として、重要な存在になる

地域社会は、少子高齢化や過疎化によるコミュニティの喪失という大きな問題を抱えている。だから、コミュニティナースは、人々をつなぐ「接着剤」の役割を果たす存在として、ますます重要になっていくだろう。「できる人ができるところで、できることをやる」という柔軟な発想がよい。従来、日本になかったこの取り組みに注目し、自ら実践するとともに、育成・普及の仕組みを自治体や企業を巻き込んで、全国に広めていく矢田さんの行動力も素晴らしい。

受賞コメント

名誉ある賞に選んでいただき、本当にありがとうございます。手探りの10数年でしたが、応援してるよ!と掛けていただく声を頼りに進んだ10年でした。悩んだ時、結果に繋がった時、向き合い方や乗り越え方、謙虚に受け止める姿勢など、いつも示してくださったのは市民の皆様でした。関わってくださった全ての方に、育ててくれた故郷に、この賞を通じて感謝を伝えたいと思います。この受賞を励みに、より一層頑張りたいと思います。ありがとうございました。

ページの先頭に戻る