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NPO法人「飛んでけ!車いす」の会
旅行者の協力のもと、20年にわたり世界80カ国以上に車いすを届ける
NPO法人「飛んでけ!車いす」の会

NPO法人「飛んでけ!車いす」の会
北海道札幌市

  • 2018年度受賞
  • 国際貢献

受賞概要

使用者仕様に調整した車いすを、旅行者協力のもと、世界80カ国に届けて20年

札幌市のNPO法人「飛んでけ!車いす」の会(事務局長:吉田三千代(よしだ みちよ)さん)は、使われなくなった車いすを海外に送る活動を行っている。その仕組みが面白い。旅行者からボランティアを募り、旅行に行くついでに手荷物として車いすを現地まで運んでもらうという方法である。活動開始から20年。運んだ台数は2,894台、国は81ヵ国(2018年12月末現在)、運搬ボランティアに関わった旅行者は延べ3,000人超にのぼる。

1997年暮れ、英語講師の吉田三千代さんは、バングラデシュの首都、ダッカ郊外のスラム地区を訪れた。そこで目にしたのは、移動のための車いすが無いため、障がい者の人たちが不自由を強いられている姿だった。吉田さんは「札幌には車いすが余っている。使われなくなったものを海外で必要としている方に届けたい」と思い立つ。しかし運搬の方法や費用をどうしたらよいのか。友人の佐藤正尋(さとう まさひろ)さんに相談すると、北海道大学医学部4年生(当時)の柳生一自(やぎゅう かずより)さんを紹介された。柳生さんは大学のサークル活動で、アジアの国に飛行機で車いすを運んだ体験があり、20キロ以内なら手荷物として無料で運べると教えてくれた。この方法ならできる。1998年5月、吉田さんは柳生さんとともに「飛んでけ!車いす」の会を設立。同月、タイに向け子ども用2台が飛び立った。

車いすは個人や福祉施設などから提供してもらう。それらを整備・調整し、申し出のあった旅行者の自宅や利用する空港に送る。旅行者は現地に運び使用者に直接渡す。
手から手へ顔の見える活動だが、大きな特徴は、使用者に合わせて車いすをカスタマイズしていること。そのため、事前に身体特徴や病状に関する情報を提供してもらいデータシートを作成している。一方、提供された車いすは一台毎に、座幅、背もたれ高、フットレスト高、重量といった数値情報がデータベース化されている。ここからデータシートに基づき最適な車いすを見つけ出し、使用者仕様に整備・調整しているのだ。また、長く使用してもらえるよう、整備マニュアル(日本語版、英語版、インドネシア語版)を作成し、整備ボランティアが現地を訪れ技術を伝える取り組みも行っている。

使用者からは「自由に外出でき学校へも行けるようになった」、「自分でやれることが広がった」、といった感謝の言葉が各国から寄せられる。寝たきりの8歳の少年が、車いすを使うことで少しずつ手足が動くようになった例も。また、旅行者からも「現地の人と交流して良かった」、「子どもたちの笑顔が忘れられない」、「今までの人生で一番素晴らしい体験だった」との声が寄せられる。
吉田さんは「一番うれしい瞬間は、車いすを受け取った人の笑顔の写真を見るときだ」と語る。

使用者の体格や体の状態に合わせ、車いすを整備・調整して届ける

旅行者が届け先の自宅や空港などで直接使用者に手渡す

受け取った人の笑顔を写真で見るときが、一番うれしい瞬間だ

長く使用してもらえるよう、車いすの整備技術も現地に伝えている

受賞理由

車いすを届ける独自の仕組みを作り、活動の輪の広がりが人を助け、人を育てる

旅行者にボランティアで送り届けてもらうという独自の仕組みを作ったことが素晴らしい。そして今や整備マニュアルを製作し、海外で整備の仕方を伝えるなど20年間の積み重ねの大きさを感じる。また、10代の若者からシニアまで多くの人たちが参加するなど輪の広がりにも感動する。車いすを届けることは、人を知る、世の中を知ることにつながる。会の活動は「人を育てる」という面も持っている。

受賞コメント

車いすを1台ずつ大事に届ける地味な活動ですが、20年間続けることができました。提供者〜事務局〜整備者〜旅行者〜使用者のラインが双方向につながることで、使用者の体に合った車いすを選ぶことができる点が大きな特徴です。こうしてコツコツと地道にやり続けてきたことに目をとめていただき大変感謝いたします。

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