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角居 勝彦さん
引退した競走馬の命を守り、医療や教育などのセカンドキャリアを支援
角居 勝彦さん

角居 勝彦(すみい かつひこ)さん/1964(昭和39)年生まれ
滋賀県在住

  • 2017年度受賞
  • 社会貢献

受賞概要

引退した競走馬をリトレーニングし、医療や教育などの幅広い分野で世の中に役立てる

国内では年間、約7千頭の馬が生産されるが、最高峰のG1競走で活躍できるのは毎年数十頭程度に過ぎない。これらの馬は種牡馬や繁殖馬としての余生があるが、それ以外の馬は、飼育に多額の費用がかかることもあり、引退後、行方不明になったり殺処分されたりするケースもある。こうした状況を変えようと、引退馬のセカンドキャリアを支援し、世の中に役立てる活動を行っているのが、最多賞金獲得賞や最多勝利賞に何度も輝いた日本中央競馬界(JRA)トップクラスの調教師・角居勝彦さん(53歳)である。

角居さんは高校卒業後、競走馬を生産・育成する北海道の牧場に就職した。そこで、骨折した馬が殺処分される出来事に遭い、ショックを受けた。これが、この活動の原点となる。
その後、1986年にJRAに入り、2001年、自分の厩舎を開業。5度も最多賞金獲得するなど調教師として活躍する一方で、引退馬の行く末についても考えていたが、ホースセラピーの存在を知ったことが、具体的な活動開始のきっかけとなった。
2011年、「サンクスホースデイズ」という障がい者をはじめ、大人から子どもまでいろんな人が馬と触れ合うイベントを行った。何度か開催するにつれ多くの人が関わるようになり、活動をもっと本格化したいと考えた角居さんは、2013年12月に、馬と人との共生関係による活動を医療、福祉、スポーツ、馬事、就労等の幅広い分野で普及、促進することを目的とし、一般財団法人「ホースコミュニティ」を設立した。

「ホースコミュニティ」の事業は、「ホースセラピー」と「サンクスホースプロジェクト」の大きく2つ。このうち「サンクスホースプロジェクト」は、引退馬をセカンドキャリアにつなげるための重要な取組みで、①リトレーニング(速く走ることを教え込まれた競走馬を再調教し、乗馬用、セラピー馬用に再生)、②キャリアパス(馬主、乗馬クラブ、牧場など様々な団体と連携し、セカンドキャリアを創出)、③キャリアマネジメント(セカンドキャリアの管理・公開)の3つが柱。これまでに55頭の馬を送り出した。リトレーニング期間は通常、3ヵ月から半年だが、1年程度掛かる馬もいる。

角居さんは現在、精神科の医師と共同して、精神障がいの人たちと障がい者乗馬の馬を育成する計画を、北海道浦河町で進めている。将来は、日本の過疎地域に障がい者から高齢者、子どもまであらゆる人が馬を介して交流できるコミュニティを創ると共に、馬のたい肥を使った農作物の生産などで、町おこしにつなげたいと考えている。

就職した北海道の牧場で、大切に育てても、骨折しただけで馬が殺処分される現実を知る

最多賞金獲得賞などに何度も輝くトップクラスの調教師として活躍する角居さん(左から2番目)

ホースセラピーの存在を知り、引退馬のセカンドキャリアにしたいと考えた

馬の命を守り、同時に人も癒やし助ける活動を今後も継続していく

受賞理由

馬たちを救いたいという繊細な感性から一歩踏み出した姿に感動

引退馬の幸せなセカンドキャリアを実現する具体的な仕組みを作ったことが素晴らしい。競馬の世界では殺処分はやむを得ないと受け止められている中で、馬たちを何とか救いたいと競馬業界の第一人者が一歩踏み出した行動力に感動する。角居さんの命に対する繊細な感性。今の時代、これこそ私たちが共有しなければならない大切なものではないか。

受賞コメント

受賞のお知らせを受け、私たちの活動が業界関係者だけでなく社会全体から注目されていることを感じると同時に、身の引き締まる思いがします。セカンドキャリアといっても現在は、乗用馬への転用が主ですが、今後、福祉・教育・医療・介護・観光・就労など、馬を介在とした様々な分野に役割を作っていきたいと考えております。引退馬支援によって人と馬が幸せになる、そんな社会を皆さんと一緒に作っていけたらうれしいです。

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