受賞者全員の活動を公開! 受賞者アーカイブ

堀内 佳美さん
読書が身近にないタイで本の素晴らしさ、言葉を学ぶ楽しさを伝えるため献身
堀内 佳美さん

堀内 佳美(ほりうち よしみ)さん/1983(昭和58)年生まれ。
タイ・チェンマイ県在住。

  • 2016年度受賞
  • 国際貢献

受賞概要

タイの人々に読書や学習の機会を作りたいと図書館や幼児教育センターを運営

「読書が身近にないタイで、本の素晴らしさ、言葉を学ぶ楽しさを伝えたい」。堀内佳美さんはタイに移住し、2010年にNGO「アーク(ARC)どこでも本読み隊」を結成。タイ北部チェンマイ県を拠点に、図書館と、少数民族の子どもにタイ語を教える幼児教育センターを3カ所、学校や幼稚園で読み聞かせや本の貸し出しを行う移動図書館を運営する。

堀内さんは生後間もなく先天性白内障と緑内障の合併症を発症し、高校生の時に完全に光を失った。彼女に広い世界を教えてくれたのは、幼いころから両親や祖父が読み聞かせてくれた本だった。小、中学校時代は点字図書館で朝から晩まで本を読みふける「本の虫」だったという。
活動のきっかけは国際基督教大学在学中にバンコクに留学した時のこと。各地の村や障害者関連団体を訪れると、タイでは本が高価で、図書館も都市以外にほとんどない。また、本は勉強するためのものと考えられており、子どもたちの多くが読書の喜びを知らずに育つことを知る。自身の読書体験から、彼女は本と人々を繋げたいと考え始めた。大学卒業後は日本で就職したが、その夢が諦めきれない堀内さんは2年で会社を退職し、2009年、インドにある社会企業家の研修機関で、障害や貧困に負けずに社会を変えるためのノウハウを学んだ。「いろいろな人の支援を受けて読書ができた。そのお返しをタイで行いたい」と、2010年からバンコクで活動をスタートさせた。

活動当初は、本を詰め込んだリュックを背負い、乗り合いバスで子どもの施設を回り読み聞かせを行った。活動を知ったボランティアも集まり、農村に出向き移動図書館ができるようになった。2012年チェンマイ県プラオ郡の財団から誘われ、活動の拠点をプラオに移し、現在はプラオ郡全域をトラックで回り、学校や幼稚園で本の貸し出し、読み聞かせを行う移動図書館を運営。外出が困難な高齢者や障害のある方には、直接家を訪問し、本を貸し出している。また、誰もが利用できるコミュニティ図書館では、タイ語、外国語のあらゆるジャンルの本6000冊を貸し出し、憩いの場にもなっている。
彼女の活動は、図書館活動だけにとどまらない。タイ語が話せない少数民族の子どもたちには、タイ語の読み書きを教える幼児教育センターを設立。タイ語のできる村人が教師を務め、村の主体性を重視した支援活動も行っている。

点字を学んでからは点字図書館で本を読みふける「本の虫」だった

堀内さんが読み始めると、子どもは夢中で聞き入る

公園での移動図書館。自然と親子で読書や読み聞かせが始まる

タイ語が話せない少数民族の子どもに、タイ語や英語の基礎を教える支援活動も行う

受賞理由

障害や言葉の壁を乗り越え、世界をフィールドに活躍する

何物をも恐れず果敢に挑戦する堀内さんの姿に圧倒される。活動するフィールドに国や言葉の壁はなく、障害までも乗り超えて夢を実現していく。その生き方は創造的で、心が熱くなる。本に接すること、言葉を学ぶことがいかに人間形成に必要か。その素晴らしさ、大切さを伝えていこうとする意思に敬意を表したい。

受賞コメント

私たちの活動に共感していただけたこと、大変うれしく光栄です。活動を始めてから今まで携わってくださったすべてのアーク職員、ボランティア、支援者、そして図書館や幼児教育センターの利用者の皆さんを代表して賞を受けさせていただきます。私は、読書推進、団体運営どちらも素人で経験も不十分ですが、本が人に与える影響力には100%の自信があります。読書に抵抗感の強い人がまだ多いタイで、少しでも多く人々に、本が私たち人間のどれほどよき友となりえるかをこれからも伝えていく所存です。

受賞者の活動を紹介 ウェブマガジン受賞者へ贈る“書”
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