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山崎 充哲さん
多摩川の生態系を守るため「おさかなポスト」を運用して10年
山崎 充哲さん

山崎 充哲(やまさき みつあき)さん/1959(昭和34)年生まれ。
神奈川県川崎市。

  • 2015年度受賞
  • 社会貢献

受賞概要

外来種の放流を防ぐため水槽を設置 10万匹以上を新たな飼い主へ命のリレー

東京都と神奈川県の境を流れる多摩川。その川沿い、川崎市多摩区の稲田公園内にある生けすに、飼えなくなった観賞魚を引き取る「おさかなポスト」という名の水槽が2005年から設置され、多摩川の生態系を守っている。
このポストを運用しているのが、地元に住む自然環境コンサルタントの山崎充哲さん。きっかけは十数年前のこと。川べりの調査中に土手で泣いている男の子に出会った。手には金魚の入った器。親から「捨ててきなさい」と言われて来たという。見かねた山崎さんは、自身が組合員でもある川崎河川漁業協同組合が管理する稲田公園の生けすに金魚を預かった。

もともと多摩川は飼育できなくなった観賞魚が多く捨てられており、外来種が増えていた。さらに近年、下水処理の整備が進み、水質は改善される一方、温かい処理水が原因で水温が上がり、熱帯魚が住みやすい環境になった。「多摩川」ならぬ「タマゾン川」である。このままでは在来種が食べ尽くされ生態系が破壊されると、山崎さんは危惧していた。もし魚を受け入れる施設があれば、外来種が川に放されるのを防ぐことができる。こうして「おさかなポスト」は誕生した。
ポストには年間1万匹程度が預けられ、設置10年で10万匹以上を引き取った。今では稲田公園周辺の水域では外来種がほとんど見られなくなったという。ただし、「おさかなポスト」は魚のゴミ箱ではない。大切な魚を一時的に預かり、新しい飼い主に引き取ってもらう場でもある。「預かった命を次につなぐ場所。命のリレーが、おさかなポストの役割」と山崎さん。引き取り先を探す活動も続け、個人のほか小学校、福祉施設、老人ホーム、水族館などに広がった。年に100から200件の引き取りがあるという。特に小学校は現在、全国約300校が協力し、生徒たちが飼育するなど、子どもたちの自然環境教育に活用している。

山崎さんは、幼少から川遊びをして多摩川と親しみ、多摩川を通して自然とは何かを学んだ。だから、今の子どもたちにも多摩川の素晴らしさを伝え、自然や命の大切さを学んでもらいたいと、出前授業、移動水族館、流域のゴミひろい、水辺の安全教育といった活動にも力を入れている。それが、現在も200種以上の外来種が生息する多摩川を変えていくことにつながると信じる。

東京と神奈川の境を流れる多摩川

飼えなくなった観賞魚を引き取る「おさかなポスト」

水辺環境教室の風景。自然や命の大切さを学んでもらう活動にも力を入れている

受賞理由

10年以上、多摩川の環境改善に貢献 子どもたちの自然を大切にする心も育む

「おさかなポスト」というユニークで他にない取り組みを10年続けながら、川遊びや環境紙芝居などを通して、子どもたちが環境や命について考えるきっかけになるような教育活動も、あわせて行っているという。そこに、多摩川への思いの深さを感じる。原点に少年時代、多摩川での家族との幸せな記憶がある。今の子どもたちにも川の楽しい思い出を、と活動。幸せの連鎖が、真の環境保護につながるという信念に打たれる。

受賞コメント

栄誉ある賞を頂戴し、驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。多摩川の生態系を守ると同時に、捨てられる外来種の命も救いたいという思いで、「おさかなポスト」による命のリレーを続けてきました。「おさかなポスト」で預かり、新しい飼い主さんを探す活動により、ポスト付近の多摩川では熱帯魚などの外来種が減り、生態系への悪影響は確実に減少しました。子どもたちには「自然を守ることが命の大切さにつながる」と話しています。今後も命のリレーを続けていきます。

受賞者の活動を紹介 ウェブマガジン受賞者へ贈る“書”
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