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阪井 ひとみさん
社会的支援が必要な人たちが地域で暮らし自立できるよう、入居支援を続ける
阪井 ひとみさん

阪井 ひとみ(さかい ひとみ)さん/1959(昭和34)年生まれ。
岡山県在住。

  • 2014年度受賞
  • 社会貢献

受賞概要

生活の基盤となる住まいを提供するため19年で約450人に入居を支援

岡山市で不動産業を営む阪井ひとみさんは、精神障害などで住居が見つからない人たちのために、19年前から入居支援を行っている。その数はこれまで約450人。精神障害者を中心に、身体障害者、刑余者、ホームレス、DV被害者、身寄りのない高齢者といった社会的弱者の人たちである。部屋のあっせんだけではない。その人たちが自立し、地域で安心して暮らしていけるよう、医療や福祉関係者、弁護士、不動産業者、行政と連携しながら入居後の生活もサポートしている。その行動力に、入居者からは「阪井のおばちゃん」と慕われ頼りにされている。

きっかけは19年前のこと。ある男性入居者から阪井さんに突然電話が入った。「誰かが俺を殺そうとしている」。駆けつけると男性は錯乱状態。連れて行った精神科病院で統合失調症と診断され入院した。その後、病院から入院患者たちの退院後の入居支援を相談され、初めて精神障害者が置かれた過酷な現実を知ることとなる。例えば、病院には入居先が決まらないため長期入院を余儀なくされる人が多くいる。また、風呂やトイレが壊れていたり、畳や壁がボロボロでネズミが巣食っていたりと、病気を理由に劣悪な環境に住まわせられる人がいる。そこには、社会的弱者に対する偏見や差別、無理解が大きく広がっていた。
この現状を何とかしようと、同業者や物件のオーナーに協力を求めたが、「偏見は予想以上に強く苦労した」という。しかし、持ち前の肝っ玉で奮闘。理解は徐々に広がり、2008年には医療、福祉、司法などが連携する「NPO法人 おかやま入居支援センター」を共同で設立した。

阪井さんは、「心に病を持つ人でも自立できるし、その権利がある」と考える。そのためには、「病院や施設ではなく、普通の家に住み地域で暮らすことが大事」という。実際、住まいが確保できると、多くの人は日々の生活を大事にし、働く意欲を取り戻していく。併せて、市民が障害に対する理解を深め、医療、福祉、地域が連携して支援することも重要だ。そのため阪井さんは協力者たちと、1970年代に精神病院を廃止したイタリアの取り組みを参考に、地域で精神障害者をサポートする新たなNPOを今春設立する予定だ。

精神障害のある女性が20年以上住んでいた部屋

阪井さんの支援で約50人が暮らすマンション

みんなから頼りにされている阪井さん

受賞理由

社会的弱者が安心して地域で暮らせるよう市民が連携して仕組みを作り実践

精神障害者など社会的弱者が地域でいかに生きていくか。今、日本が取り組まなければならない大きな問題である。阪井さんたちの取り組みは、行政など公の手が行き届かないところを市民が、しかも様々な職種の人たちが繋がりあって支援の仕組みを作り、実践していることが素晴らしい。

受賞コメント

私たちの取組みを評価していただき、本当に有難うございます。心の病気の人たちの中には、家を探すことができない人がいます。また、家を探せても人として住める家を提供してもらえない人もいます。こうした現実を知り、精神障害者や住宅確保要配慮者の支援を始めました。皆さん、心の病気を持ちながら、さらに色々な諸問題を抱えながらもけなげに生活している人ばかりで、納得できる家が確保できると、その人らしく希望を持った生活ができるようになるのです。住居を整えると、生活が変わることを改めて認識しました。

受賞者の活動を紹介 ウェブマガジン受賞者へ贈る“書”
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