受賞者全員の活動を公開! 受賞者アーカイブ

上中別府 チエさん
高齢になってから夜間学校へ通い、勉学や課外活動に熱心に取り組む
上中別府 チエさん

上中別府 チエ(かみなかべっぷ ちえ)さん/1930(昭和5)年生まれ。
神奈川県在住。

  • 2013年度受賞
  • 自己実現

受賞概要

「もっと学びたい」と夜間学校で勉学に励み、野球部などの活動にも積極的に参加

2013年5月、全国高等学校定時制通信制軟式野球大会・神奈川県予選の1回戦。5回裏、川崎市立高津高校のレフトの守備についたのは女子選手だった。83歳の同校定時制4年生、上中別府チエさんである。チームは決勝まで勝ち進むが、惜しくも全国大会出場は果たせなかった。試合後、泣き崩れる部員たちに寄り添うチエさんの姿があった。

チエさんは1930(昭和5)年、鹿児島県の農家に生まれた。戦時中ゆえ、満足に勉強できず進学もあきらめた。将来教師になりたいと思っていたチエさんは、“もっと勉強したい”という思いを心の底にしまう。

24歳で結婚。2人の子どもに恵まれ、その後、夫の転勤で川崎市に移り住んだ。2004年、夫との死別で転機が訪れる。大きな喪失感が襲い何もできなくなったチエさん。このままではいけないと思った時、再び「勉強したい」という思いが湧き上がった。そして2007年、76歳で市立中原中学校夜間学級に入学。卒業時「もっと勉強したい」と試験を受け、2010年、79歳で高津高校定時制に進学した。

入学後は、自然体で誰とでも分け隔てなく接する性格で、すぐに孫より若いクラスメートに溶け込み、慕われるようになっていった。定時制には様々な事情で大人や教師に心を開かない生徒がいるが、チエさんの前では素直に心を開くのである。勉強では毎日予習と復習を欠かさない。負けず嫌いのチエさんは、その日習ったことは理解できるまで寝ないので、家族が心配するほどだ。また、部活動(書道部、華道部)に文化祭、球技大会、弁論大会と積極的に学校生活を楽しんだ。こうした姿を見ていた担任の中島克己先生は、「チエさんがいれば、チームはもっと成長する」と顧問を務める野球部にスカウト、3年生の秋に入部した。球拾いやグラウンド整備など出来ることは限られているが、部員達は「学校一の努力家」との交流から多くのことを学んだ。

好きな言葉は「生涯現役」。卒業後は書道、水墨画、絵手紙、水泳をやると決めている。

受賞理由

チャレンジ精神旺盛で、何事にも努力する姿が皆を元気づけている

チエさんは、とにかく皆を勇気づけ元気づけてくれる。野球部員としての活動だけではない。高齢になってから夜間学校で勉学に励み、孫より年齢の離れた同級生たちと交流し、「何でも挑戦してみたい」と書道、華道といった課外活動にも積極的に取り組む。そんな生き方に感動する。

受賞コメント

この様な賞をいただけることなど夢のようで、たいへん光栄に思っております。戦時中できなかった勉強がしたいと、夜間中学の門をくぐったのは70代半ばでした。そして、もっと学びたいと定時制高校に進み、学ぶ喜びを日々味わいながら充実した学生生活を送ってきました。83歳で素晴らしい恩師と出会い、孫よりも若いすてきな仲間がたくさんできたのは私自身の財産です。私の生き方から「生きる」ということに少しでも勇気や希望を持っていただけたら嬉しく思います。

受賞者の活動を紹介 ウェブマガジン受賞者へ贈る“書”
ページの先頭に戻る