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渡辺 玉枝さん
日々の生活を大切にしながら登山に挑戦し続け、2度のエベレスト女性最高齢登頂記録を達成
渡辺 玉枝さん

渡辺 玉枝(わたなべ たまえ)さん/1938(昭和13)年生まれ。
山梨県在住。

  • 2012年度受賞
  • 自己実現

受賞概要

「ただ山が好きで、挑戦したかった」という自然体でエベレスト登頂世界最高齢記録を2度更新

2012年5月18日午後9時、渡辺さんは、頂上めざし高度8300メートルのキャンプを出発。途中強風に苦しみ、さらに酸素ボンベが切れるアクシデントに見舞われながらも無事、10時間後の翌19日午前7時(日本時間午前10時15分)、世界最高峰エベレストの山頂に立つ。自身の持つ女性最高齢の記録(63歳、2002年)を10年ぶりに更新した瞬間だ。2005年に、丸2年間活動休止を余儀なくされる大怪我(第一腰椎「椎体圧潰」)を負ったが、これを克服しての登頂である。

世界的な山々の登頂歴を持つが、山を下りれば普通の一生活者にもどる。小さい時から高校を卒業するまで、両親を助けて畑仕事、力仕事を毎日やってきた。そんな日々の生活をしっかり行うことが身についているから、登山を始めても仕事との両立には気を遣った。休みを取れば同僚に迷惑がかかる。普段の仕事を一生懸命勤め、信用を得ることが大事と考え、59歳で退職するまで実践してきた。

登山費用はほとんどが自費で、装備の一部は仲間からもらったものもある。2度のエベレストは山岳カメラマン・村口徳行さんとの2人きり(シェルパも3人だけ)の編成と簡素。世界記録についても「年齢は気にしていない。ただ山が好きで、挑戦したかったから登っただけ」と淡々としている。何より「畑仕事をするというような普段の生活の延長線上にエベレストもある」という言葉は、渡辺さんの生き方そのものを表している。

「今回の登頂でお金を使ったので、当面予定はありません」。大好きな畑仕事をしながら、河口湖町のネイチャーガイドや富士登山ガイドをし、トレーニング代わりに周辺の山歩きをする毎日だ。

(左側が渡辺さん)  写真提供:村口徳行氏

受賞理由

地道で謙虚な生き方 プロの登山家ではない、一生活者としての記録が感動を与える

世界記録樹立という快挙はもちろんだが、実生活を大切にしながら、その中でコツコツと登山を続けてこられたという、ご本人の地道で謙虚な生き方が素晴らしい。だからこそ、大怪我を克服して2度目の挑戦を果たせたのではないか。一生活者としての世界記録は素直に感動できる。

受賞コメント

私のエベレスト登頂がこれほどまで大きく扱われるとは思っていなかったので、嬉しいというよりも戸惑いの方が大きいです。ネパールに下山した時も、国境の町で大きな登頂祝の幕で出迎えられて驚きました。日本に帰ればそんなことはないと思っていましたが、取材攻勢に合い、震災後の日本は明るいニュースが不足しているのだと思いました。74歳になりましたが、まだまだ現役として山歩きを楽しみながら、自然保護運動にも参加して行こうと思っています。

受賞者の活動を紹介 ウェブマガジン受賞者へ贈る“書”
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