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吉村 隆樹さん
障害者や病気で声を失う難病患者のため、文字入力支援ソフトや音声再現ソフトを開発し無償提供
吉村 隆樹さん

吉村 隆樹(よしむら たかき)さん/1965(昭和40)年生まれ。
長崎県在住。

  • 2012年度受賞
  • 社会貢献

受賞概要

障害がある人や難病の人でも、パソコンで世界を広げてほしいと、フリーソフトを開発

吉村さんは19才の時、足の手術をした病院でパソコンと出会う。長崎県立諫早養護学校(現諫早特別支援学校)を卒業し、1984年、佛教大学通信制教育部に進学した時だった。脳性小児まひで手足、言語に障害があるため、様々な作業に介助を必要とするが、パソコンは一人で操作でき、さらに作り上げたソフトに健常者との違いはない。この喜びが吉村さんの生き方を決定づけた。

独学でプログラミングを習得し、キーの同時操作など障害があると難しい入力動作を簡単にするソフトを続々と公開。そして、2000年に、キーボードやマウスが無くても文字が打ち込める障害者向けパソコン操作支援ソフト「ハーティーラダー」を開発、無料ソフトとしてネット上に公開した。そして2011年夏には、病気の進行で声を失う難病患者のために「マイボイス」という画期的な機能を加えた。声を失う前に自分の声を登録しておくことで、文章を入力すると自分の音声で読み上げるというもの。「ハーティーラダー」を使って難病患者を支援する東京都立神経病院の作業療法士・本間武蔵さんの依頼で開発に取り掛かり、5年がかりで完成させた。

市販の音声再現ソフトは百万円程度し、半日かけて一定量の文章を読む必要があるが、「マイボイス」は五十音、濁音など126音素の登録だけで済み、所要時間は15分程度と負担も少ない。ダウンロード数は不明というが、本間さんが音声登録を手伝った人だけでも87人にのぼる。ただ、吉村さんは「まだ納得できる読み上げ方ではない」と現在も改良を続けている。

「重い障害や病気の人でも、パソコンを通じて誰かと心を通じ合える。その手助けがしたい。」パソコンを通じて生きがいを感じ、世界が広がった吉村さんの思いは、多くの障害者や難病患者に希望を与えている。

受賞理由

障害者の視点に立ち生活の支えとなるソフトの開発を続ける

自ら障害を持ちながら、難しい音声再現ソフトの開発をやり遂げた上、無料提供している点が素晴らしい。まさに障害者の視点に立った画期的なソフトで、声を失った難病患者たちの日常生活の支えになっている。自分の障害をプラスに変え、社会に貢献するという生き方にも感銘を受ける。

受賞コメント

身に余る賞をいただき、ありがとうございます。「ハーティーラダー」の開発から13年になります。この間、利用者の皆さんがこのソフトでコミュニケーションを楽しんでおられる様子を思い浮かべながら、仲間と共に改良を続けてきました。また全国各地には、このソフトのサポートをして下さっている人たちがたくさんおられ、その存在が私の励みになっています。受賞は、それらサポーターの皆さん(もちろん家族も)のおかげだと思っています。これからも必要とされる限り、微力ながら「ハーティーラダー」や「マイボイス」の開発を続けていきます。

受賞者の活動を紹介 ウェブマガジン受賞者へ贈る“書”
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